お前には仕事をさせられない
それはあるリース業の会社の中で、特に優秀な課長 佐々木さん（仮名）が入社1年目の木村さん（仮名）に突きつけた言葉でした。
入社1年目の木村さんは仕事ができない社員ではありません。
むしろ職場の中でも明るく、積極的に自分から仕事を見つけ、周りに手伝えることはないか、と聞いて回るような、周囲から評価を集める期待の若手女性社員の１人でした。
物怖じしない木村さんは、仕事をさせてくれない佐々木課長に反発。お互い無視できる関係ならまだいいのですが、上司と部下の関係ではそうもいかず…
佐々木課長から見ると「あいつは生意気で強情だ」
木村さんから見ると「あの人は仕事をさせてくれない」と対立は深まり、お互いの人格否定にまで問題が深刻化していました。２人の社員の対立は、着実に職場の雰囲気を悪くしていました。
お前を辞めさせて、俺も辞める
私、豊岡に「なんとかならないか」と声がかかったのはそんな、会社の雰囲気が最悪なタイミングでした。佐々木課長が木村さんに対して「お前を辞めさせて、俺も辞める」という発言が飛び出すような状態…。私はまず当事者の２人から話を聞くことから始めました。ですが…
この２人の対立は意外なほどカンタンに解消されたのです。
一体何が起こったのか？
話をよく聞いてみると、この２人の対立は仕事に対する価値観の違いから生まれていました。端的にいうと仕事で扱う「危険物」に対する価値観が違っていたのです。
佐々木課長は危険物の取り扱いについて厳しい考え方を持っており、若手社員にはさせてはいけない、と考えていました。
一方、入社１年目の木村さんは、様々な仕事に携わりたい、他の社員が手が足りなそうならどんな形ででも力になりたい、という価値観で仕事に臨んでいました。
危険物に携わる際の明確な基準がなかったこの会社では、ここに価値観のすれ違いが生まれ、トラブルが一気に深刻化したのです。
パワハラが生まれ、一気に深刻化する意外な理由
今回の件は、お互いの人格否定まで発展し、佐々木課長は木村さんの仕事を取り上げることまでやっていたので、法的にはパワハラになりかねない状態でした。
ただ、本当は２人とも「会社に貢献したい」「社員の安全を守りたい」という、前向きな姿勢・価値観で仕事に臨んでおり、仮に佐々木課長がパワハラを怖がって言動を控えていたら、社員の安全を守れなかったかもしれません。
会社のルールや基準がないために、それぞれの価値観がぶつかり合い、どちらも悪くないのにお互いの価値観が暴走し、問題が深刻化してしまったケースです。
今回はたまたま「あれ…？これって価値観の問題だよね」という勘所が働いてスルッと解決しました。ただ、今回のように問題が深刻化しすぎて現場では解決できない、という事態は、人事担当者なら誰もが直面しているのではないでしょうか？
もちろんパワハラ問題は、今回のような「価値観のズレ」によってのみ生まれるものではありません。妬み・嫉み（そねみ）・人格的な問題・地位・保身・権力関係などなど…人が集まる場所なので、様々な要素がハラスメントや衝突の原因になります。
では、私たちはこういった多様な職場のトラブルやハラスメント問題に、どのように向き合うべきなのでしょうか？
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ
これはドイツの鉄血宰相と呼ばれたビスマルクが言った言葉です。
愚者は自分のみの経験から学ぶ。
一方、賢者は最初から自身の誤りを避けるため他者の経験から学ぶ…という言葉です。
私が今回のトラブルに直面し、それでもスルッと問題解決できたのは、多くの企業様のハラスメント問題に臨み、他者の経験から多くを学んできたからです。
同様に、きっとあなたも多くのハラスメント解決の事例を知っていたら、あなたの職場で起きるトラブルを、効果的に解決するためのヒントを多く掴めると思います。
これが有料メールマガジン「ブログにはちょっと書けない 人事担当者のためのパワハラ解決エピソード集」のメインコンセプトです。
社内で最も解決事例に詳しいブレーン役に
人事・総務担当者であるあなたの元には既に、職場で起こっている多くの問題や、問題とは呼ばないまでも困った人間関係、こじらせかねないトラブルの種の話が集まっているのではないでしょうか？
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弁護士・社労士の先生達には絶対に示せない
ハラスメント解決法
ハラスメント問題を解決してくれるプロとして最初に思い浮かべるのは弁護士や社労士の方々だと思います。ただ…
- 弁護士の先生は裁判になったときに頼れる専門家
- 社労士の先生は就業規則づくりや労基署対応で頼れる専門家 です。
一方、人事・総務担当者が日々直面するのは、法律や就業規則だけでは割り切れない…様々な要素が絡み合った複雑な問題ばかりですよね？
そういった実態を踏まえ、私たちはこれまで多くの相談事例に臨む際、直接人間関係の中に入って事態に当たってきました。時には経営者の方々と喧々諤々（けんけんがくがく）やりあって、当事者や周りの方々に現場でお話を聞いて、問題解決に取り組みます（この点が、多くの弁護士・社労士の方々との大きな違いでしょう）。
このメルマガでお届けするのは、そこで得た幅広い経験や事例をギュッと凝縮したエピソードです。なので、法律面や規則だけに寄りすぎない、現場で使えるバランスのとれた問題解決のヒントをお届けします。
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居心地の良い職場を作りたい方はぜひ話を聞いてみてほしいです
40代 女性
信頼している人からのセクハラで人間不信に陥っていましたが、豊岡さんと出会って変わりました。
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豊岡敬子プロフィール
- A3（エースリー）代表
- 一般社団法人SCIフォーラム 理事
- キャリアコンサルタント（国家資格）
- コーチ（生産性向上・ワークライフバランス）
人材育成支援、組織開発支援、チームビルディングをサポート。
累計3,218人の相談実績を持つ組織問題解決の専門家。
これまで、経済産業省や中小企業庁といった政府機関、愛知県、豊橋市、岡崎市といった地方行政機関、美濃加茂商工会議所、豊浜商工会議所、愛知労働局など多くの公的機関の組織問題を改善してきた。また、民間事業者へのサポート実績も多岐にわたり、自動車部品メーカーや小売事業者、配送サービス事業者、化粧品小売、大手通信会社、金融機関、介護サービス事業者など、幅広い人材・組織問題解決の実績を持つ。